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2021.12.06.

ペットロス症候群を知ろう

ペットロス症候群を知ろう

ペットロス症候群とは

症名からも分かるように「ペット」を「亡くす」事(ペットロス)によって、精神的なストレスになり発症する精神疾患のこと。ペットとの別れのショックが半年以上続き、「うつ状態」になったり「自殺願望」を感じたりします。また、精神的な症状にとどまらず、身体的な症状を併発することも少なくありません。
ペットとともに生きることがよりポピュラーな米国では、1990年代より精神疾患のきっかけになる事案として重要視されていました。
日本においても、2000年ごろから専門家の間で注目されるようになり、現在では周知するなどをし予防するための策が講じられています。

ペットロス症候群にかかる人口の増加には、ペットの位置づけが”家族”という枠を超え”伴侶”にまでなっているからともいわれています。
長年連れ添い生きてきたペットへの愛情が、ペットロスによりご自身の内に溜まってしまう。ペットをなくした悲しみを表現する方法が何も見つからない。
そんな精神的症状を引き起こす可能性は誰にだってあるのです。

ペットロス症候群の発生と回復のプロセス

そんなペットロス症候群ですが、これは特異的な症状ではなく、前述の通り誰にでも起こりうる正常な反応です。
ペットロスに限ることではないのですが、大事なものをなくしてしまった人は、誰しもが悲しみに暮れることでしょう。その悲しみが回復するまでのプロセスはエリザベス・キュブラー・ロスの著書「On Death and Dying」ので紹介されています。
キュブラー・ロス・モデルと呼ばれるこの理論では、悲しみが生じてから回復するまでの心の過程を5段階に分けて解説しています。その5段階とは、以下に分類されています。

1.拒否

ペットの死を受け入れるのが辛いあまり、受け入れないでおこうという防衛本能が働くときに起こるのがこの「拒否」と呼ばれる段階。
現実逃避にも似た行動・言動が現れ、様々な想像でペットの死から目を背けることでしょう。

2.怒り

ペットの死、その原因を考え、漠然とした疑問を投げつけてしまうこと、その一連の行動は「怒り」により引き起こされます。
自分に対して向けられる怒りもあれば、他人に対して向けられるものも。
「もっとかわいがってやれれば」という感情から「獣医は本当に最適な処置をしたの!?」というものまで様々あります。

3.交渉

悲しみを何かに替えて和らげようとする心的行動、それが「交渉」と呼ばれる段階です。
「◯◯◯すればペットが返ってくるのではないか」と考える、などという行動が見られます。

4.抑うつ

無気力になった状態のことを「抑うつ」といいます。悲しみの感情が強いあまり、何をしても楽しくない、日常生活がどうでも良くなるなど、一般的に「うつ」と呼ばれる症状に近くなります。

5.受容

拒否から抑うつまでの心的症状のあと(順番が違ったり、すべての症状が発生するわけではありませんが)、事実を受け入れ、いつもどおりの感情を取り戻す段階へと移ります。
その状態を「受容」と呼び、生活の中での感情がいつも通りに戻っていきます。ペットの死が悲しいのはもちろんですが、その事実を事実として受け入れ、きちんと向き合うことができるようになっていきます。

まずはペットロス症候群を知っておくことが大事

説明したとおり、悲しみからくる心的症状は防ごうと思ってもなかなか難しいものです。
ですが、ペットロス症候群の存在と発生プロセスを、まずは知っておくことで原因不明の自体でも一呼吸おいて症状と向き合うことができると思います。
その上で悲しみを克服する足がかり、きっかけになればと思います。

次回はペットロス症候群の発生の原因についてをご説明いたします。

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